なにわの社労士発~「今日もこんなええことありました」 | 経営者会報 (社長ブログ)
人とのご縁を大事に仕事をしています。「今日もこんなええことありました」という気づきをみなさんと共有できればと思います。
社員の健康管理を真剣に考える時代に
居酒屋チェーン 日本海庄やで勤務していた店長の過労死事件の高裁判決が5月25日に出ました。
高裁も下級審判決を支持し、過労死に至るような長時間労働を従業員にさせたことについて
会社の責任のみならず、会社役員の責任も認める判断を示しました。
こちらの会社では、募集の際に提示していた給料の額は、80時間の残業をした場合に
支払われる金額で、<基本給(最低賃金)+80時間のみなし残業代>という形になっていたそうです。
80時間のみなし残業代とはいえ、80時間の残業をしないと減らされる仕組みでした。
法定労働時間を超えて、従業員に仕事をさせる場合、会社は時間外協定(36協定)を締結して
労働基準監督署に届出をしなければなりません。
時間外協定を締結する際には、一定期間の残業時間の「限度時間」が定められています。
1年単位の変形労働時間制を導入している場合は1か月42時間、1年であれば320時間。
それ以外は1か月45時間、1年であれば360時間が限度です。
しかし例えば決算処理などでどうしても特定の期間だけは
その限度時間内に残業時間が収まらない場合は、
「特別条項付」の時間外協定を締結することができます。
特別条項を結んだ場合、限度時間は会社で決めることができますが(時間の上限なし)
その期間は1年のうちの半分を超えないこと(すなわち6か月を超えないこと)とされています。
日本海庄やでは、時間協定の限度時間は月100時間としており
実際に時間外残業が100時間を超えるようなシフトの組み方で
長時間労働を抑制しようとする意思が全く見られなかったこと、
さらに健康診断の実施も行っておらず、従業員の命を守るという意識が
見られないということで、過労死事件で初めて、会社だけではなく
人事担当役員を含む役員個人にも損害賠償責任を負わせる判決となりました。
人の命はひとつしかありません。
従業員の命は必ず守るというのが、人を雇う経営者が最低限やらなければならないことです。
飲食店や運送業では長時間労働が常態化し、
「うちの業界はこんなものです。労働基準法を守っていたら会社がなくなってしまいます」
など言われる経営者も中にはいますが
長時間労働は、社員の命・健康に直結するという意識を持ち
真剣に会社として取り組みを考える時期に来ているのではないでしょうか。
さらに、中小企業でおざなりになっているのが健康診断です。
「受診させる時間がない、受診させる費用を会社が持たなければならないのであれば
負担増になるのでやりたくない」など、できな理由を述べる経営者も多くいますが
健康診断を実施して、社員の健康管理をすることも会社に課せられた義務なのです。
(労働安全衛生法に定めがあり)
何か起こってからさかのぼって健康診断を受診してもらうことはできません。
「知っていればこんな無理はさせなかったのに」と考えても後の祭りなのです。
■今回の日本海庄やの事件から学ぶべきことは以下です。
○みなし残業代を給料の中に取り込む場合は、上限は時間外協定の限度時間内に収めること
○会社として時間外労働の削減するための取り組みを行うこと
・法定労働時間を知った上で、自社の労働時間の実態調査を行う。
どの部署でどんな業務で時間外労働が発生しているのかの分析を行う。
・時間外労働が社員の能力が劣ることで増えている場合は業務の負担を減らす、配置転換をするなどの
対策を行う
・時間外労働が過重な業務によるものの場合、業務分担の見直し、人員の投入、外注の活用などの対策を立てる
・休日出勤を減らすことで、労働時間の削減に効果あり
○社員の健康管理を徹底すること
なお、平成23年4月から各都道府県労働局の労働衛生課は健康課と名称を変更し
労働局でも過労死・メンタルヘルスへの対策を強化するようになっています。
残業時間を減らすことで、結果的に残業代も減ります。
しかし残業時間を減らすためには基本的には人員の補充が必要になるので
社会保険料も含めた人件費は上がることになります。
しかし人員の配置や業務フローの見直し、外注の活用などは
経営者がやるという判断を示さなければ取り組みをすることができません。
「人の命は何にも変えられない」これを頭に入れて
長時間労働の削減に真剣に取り組みをされることをお薦めします。
高裁も下級審判決を支持し、過労死に至るような長時間労働を従業員にさせたことについて
会社の責任のみならず、会社役員の責任も認める判断を示しました。
こちらの会社では、募集の際に提示していた給料の額は、80時間の残業をした場合に
支払われる金額で、<基本給(最低賃金)+80時間のみなし残業代>という形になっていたそうです。
80時間のみなし残業代とはいえ、80時間の残業をしないと減らされる仕組みでした。
法定労働時間を超えて、従業員に仕事をさせる場合、会社は時間外協定(36協定)を締結して
労働基準監督署に届出をしなければなりません。
時間外協定を締結する際には、一定期間の残業時間の「限度時間」が定められています。
1年単位の変形労働時間制を導入している場合は1か月42時間、1年であれば320時間。
それ以外は1か月45時間、1年であれば360時間が限度です。
しかし例えば決算処理などでどうしても特定の期間だけは
その限度時間内に残業時間が収まらない場合は、
「特別条項付」の時間外協定を締結することができます。
特別条項を結んだ場合、限度時間は会社で決めることができますが(時間の上限なし)
その期間は1年のうちの半分を超えないこと(すなわち6か月を超えないこと)とされています。
日本海庄やでは、時間協定の限度時間は月100時間としており
実際に時間外残業が100時間を超えるようなシフトの組み方で
長時間労働を抑制しようとする意思が全く見られなかったこと、
さらに健康診断の実施も行っておらず、従業員の命を守るという意識が
見られないということで、過労死事件で初めて、会社だけではなく
人事担当役員を含む役員個人にも損害賠償責任を負わせる判決となりました。
人の命はひとつしかありません。
従業員の命は必ず守るというのが、人を雇う経営者が最低限やらなければならないことです。
飲食店や運送業では長時間労働が常態化し、
「うちの業界はこんなものです。労働基準法を守っていたら会社がなくなってしまいます」
など言われる経営者も中にはいますが
長時間労働は、社員の命・健康に直結するという意識を持ち
真剣に会社として取り組みを考える時期に来ているのではないでしょうか。
さらに、中小企業でおざなりになっているのが健康診断です。
「受診させる時間がない、受診させる費用を会社が持たなければならないのであれば
負担増になるのでやりたくない」など、できな理由を述べる経営者も多くいますが
健康診断を実施して、社員の健康管理をすることも会社に課せられた義務なのです。
(労働安全衛生法に定めがあり)
何か起こってからさかのぼって健康診断を受診してもらうことはできません。
「知っていればこんな無理はさせなかったのに」と考えても後の祭りなのです。
■今回の日本海庄やの事件から学ぶべきことは以下です。
○みなし残業代を給料の中に取り込む場合は、上限は時間外協定の限度時間内に収めること
○会社として時間外労働の削減するための取り組みを行うこと
・法定労働時間を知った上で、自社の労働時間の実態調査を行う。
どの部署でどんな業務で時間外労働が発生しているのかの分析を行う。
・時間外労働が社員の能力が劣ることで増えている場合は業務の負担を減らす、配置転換をするなどの
対策を行う
・時間外労働が過重な業務によるものの場合、業務分担の見直し、人員の投入、外注の活用などの対策を立てる
・休日出勤を減らすことで、労働時間の削減に効果あり
○社員の健康管理を徹底すること
なお、平成23年4月から各都道府県労働局の労働衛生課は健康課と名称を変更し
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