大きくする 標準 小さくする

«前の記事へ 次の記事へ»


「解雇不自由」の弊害

投稿日時:2008/09/12(金) 21:08rss

今日、就業規則改定のご相談を受けている事業所さんを訪問しました。
税理士さんからのご紹介で春くらいからご相談を受けています。

就業規則改訂のきっかけはあるトラブル従業員さん。
はっきり言って、この従業員さんにどうやって辞めてもらうことができるかが
メインテーマでした。

事業所の担当者さんは女性の総務部長。
ずっと心労が重なっておられて、顔色も悪く
一度は打ち合わせの途中で胃痙攣が起こり
しばらく声も出なかったくらいでした。
晩に何度もご相談のお電話をいただきました。

色々一緒に知恵を絞った結果、
「辞めてもらう」をメインテーマではなく
この従業員さんが将来何をしたいのか、今後どうしたいのかを考えました。
その結果を元に色々根回しを行い、今回無事、退場していただくことに
成功したのです。

人間にはみんなプライドがあります。
追い詰めてしまうと、逆に襲い掛かられます。
しかも通常では考えられないような力で。
なので、いかに機嫌よく辞めてもらえるのか、ここが一番大きなポイントです。

日本の労働法では「解雇はできる」になっているのですが
判例を見ると「解雇不自由」になっています。
労働者側の弁護士に言わせると、解雇ができるのは
経営が立ち行かなくなった場合の整理解雇、もしくは
「100人に聞けば100人とも黒」というような悪いことをした場合の
懲戒解雇に限られるそうです。
能力不足や、協調性のなさを理由にした解雇はありえないとか・・・

ですので私達はトラブル従業員さんのご相談を受けた場合は
「解雇」ではなく「自主退職」にもっていくように、経営者の方と
知恵を絞っています。
「解雇」にした場合は、事後に「不当解雇」でトラブルになるケースが
多発しているからです。

今、解雇関係の事案を複数抱えてまして、
実はその中の一件が裁判になってしまいました。
そちらの事業所さんは私だけではなく弁護士さんも顧問でいるので
もちろん裁判は弁護士さんがされるのですが、私も関与させていただくことになり
「だいたい2年は覚悟しておいてください」と弁護士さんに言われ
初めての裁判経験なのでとまどっています。

「解雇不自由」を常に頭において、滅多にはないことですが
裁判になってしまうこともあるので、トラブル従業員さんの相談対応は
より慎重に行いたいと改めて思いました。

経営者を守る、会社を守ることが私達のミッションなので
その決断の先にあるリスクについて、できるだけ回避できるよう
日々知恵をしぼりたいと思います。

トラックバック一覧

コメント

名前:
Eメールアドレス:
コメント:
ファイル

画像の英字5文字を入力して下さい。:
パスワード:

会社概要

人事労務に関するコンサルタント業/セミナー運営/社会保険労務士業

詳細へ

個人プロフィール

詳細へ

最近の記事

このブログの記事タイトル一覧(903)


<<  2024年11月  >>
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

コメント一覧

最新トラックバック

  • ルイヴィトン 店舗 from ルイヴィトン 店舗
    【明大生との一問百答】上司からアドバイスを引き出す方法 - 井寄事務所 代表 井寄奈美
  • 井寄奈美「著者デビュー5周年」に出席 from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    特定社会保険労務士で経営者会報ブログの会員でe製造業の会の会員でもある井寄奈美氏が2009年に「小さな会社の<トクする>人の雇い方・給料の払い方」を出版してから4年間で6冊の本を執筆しています。 そこで著者デビュー5周年の感謝祭を開くということで招待されましたが、たまたま我社の年2回しかない土曜日出勤日に当たり第1部のトークイベントには出席ができず夕方からのパーティにだけ参加させていただきま
  • 僕らの味方 キューティーバニー from 男の魂と誇りを込めて・・・世界が震撼する日本の鞄 國鞄 社長 庄山 悟 の日記
  • 新刊書『社長!「非常識社員」はこう扱いなさい』を頂きました! from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    いつもお世話になっている特定社会保険労務士の井寄奈美さんが、6冊目の本『社長!「非常識社員」はこう扱いなさい』を㈱中経出版より出版しました。 その新刊書を10月30日発売なのに早々と送ってくださいました。 井寄さんの出している本は全て労働基準法や社員になどに対する対処など中小経営者の悩んでいることなどを解りやすく解説している本で経営者にお薦めの本です。 今回は権利のみを主張して労務の
  • 大阪府中小企業労働環境好事例集作成で井寄奈美氏の取材を受けます。 from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    大阪商工労働部から推薦され大阪府総合労働事務所のヒアリングを受け中小企業労働環境向上好事例選定委員会において、三元ラセン管工業㈱においては、文句のつけようがないという意見も出るなど高評価を頂き好事例企業50社の中の1社に選定されました。 その選定された会社に今度は社会保険労務士や中小企業診断士が訪問し取材を行い事例集を作成するそうです。 訪問される社会保険労務士や中小企業診断士さんはこちら