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2013年01月29日(火)更新

お客様の会社の創立30周年記念パーティで感じたこと

先日、お客様の会社の創立30周年パーティに参加させていただきました。
そちらの会社は、創業者である現社長のお父様(現会長)とお母様が
2人で10坪のお店から事業を始められ、
現在は従業員数500名超(うちパート社員450名)で
大阪で業界シェアナンバーワンの企業に成長されています。

創業パーティにはパートさんも含む全社員が参加されていました。
お正月を除いて年中無休で商売をされていますが
この日は創業以来初めて、全店舗休業で社員のみなさんの慰労と
皆で創業30周年、そして新社長(息子さん)の就任を祝う会でした。

パーティは、大阪を代表する老舗ホテルで開催され
美味しいお食事をいただきながら
マジックショーや、人気俳優のトークイベント、
そして社員さんたちの出し物など盛りだくさんでした。

最後に常務であるお母様があいさつをされました。
事業を始めたとき、2人の子どもさんがまだ小さくて
とても不安だったこと。
雨の日も風の日も自転車に乗せて保育所に連れていき
運動会も参観日もまともに行ったことがなく
子どもたちには申し訳ないと思っていたけれども
上の息子さん(現社長)が、大学生になったときに
会社を継ぐと言ってくれて、ちゃんと親の背中を見て育ってくれたんだなと
思って本当にうれしかったことなど、話されました。

パートさんは子育て世代の人も多く、誰もが子育てと仕事の両立で
悩んでいると思います。
でも常務が、「子育てで大変なのはほんの10年ほどです。子どもは
親が一所懸命働いている姿を見てくれてます。
私もまだまだがんばります。みなさんも一緒にがんばりましょう」と
おっしゃり、私も胸が熱くなりましたし、450名のパートさんも
励まされたことと思います。

会社が小さいときから、大きくなった今でも、現場に入って
社員さんとの関わりを一番に考えておられる常務ならではの言葉だと思いました。

会社が大きくなっていくとき、核の部分が固まっていないと空中分解してしまいます。
こちらの会社は創業者である会長と常務の周りにしっかりとした核があり
それを新社長がしくみをつくって、しっかり経営をされています。

しくみをつくるのも経営者の大事な仕事ですが、社員ひとりひとりの顔を見て
声をかけて、「会社はあなたを必要としています」というメッセージを送ることも
大切だなって感じました。

これからますます発展が楽しみです。





2012年11月14日(水)更新

年金事務所の調査

年金事務所から「健康保険及び厚生年金被保険者の資格及び報酬等の調査の実施について」という
お知らせが、当社向けに送られてきました。

私は社会保険労務士の仕事は「個人事業」で行っていますが
昨年9月に、個人事務所とは別に法人を立ちあげ
執筆・講演については法人で行うことにしました。

個人事業の場合、従業員数5人未満であれば
社会保険に加入する義務がありません。
(労災保険・雇用保険については加入義務あり)

しかし、法人は従業員がいなくても(代表者だけ)でも
社会保険に加入をしなければなりません。

うちの会社の場合、前期(昨年9月~今年7月)までは
役員報酬ゼロだったので社会保険に加入していませんでしたが
今期から役員報酬を取れるようになったので、それと同時に
社会保険に加入をしました。

今回の調査は新規適用になった事業所向けのものであり
帳簿等の整備状況を確認するものですし
もちろん何の不正もしていないので、全く後ろめたいことはないのですが
調査ってあんまり気がよいものではないですね。

これまで仕事でお客様の会社への調査に対応させていただきましたが
「調査」ってあって当たり前だし、仕事として淡々と対応してましたが
いざ、自社が調査を受けるとなると、「悪いことをしてるんじゃないか」と
疑われているようで、ごっつい気ぃ悪いです。

しかし、私が業務の一環として通常モードで受けている調査の連絡がきたときに
お客様は、多少なりとも嫌な思いをされているんだなってわかったことが
よかったです。

人を雇ってみて初めてわかったこと、事務所を借りて初めてわかったことなど
いくら頭で勉強をして、仕事として経験を積んでも
自分の身にふりかかることが何よりの勉強になるんだなと
改めて感じた次第です。

年金事務所の調査の方は
「私を誰やと思てんねん」の勢いでバシっと決めてきます!
(って社員もおらんし、決めるほどのボリュームないんですけど・・汗)

2012年07月09日(月)更新

会社から「辞めてくれ」と言われたときの心の持ち方について

私は『社員の正しい辞めさせ方・給料の下げ方』を執筆していることでもおわかりのように
普段は中小企業の経営者側でのアドバイスを生業としております。




ときに従業員の立場の人から相談を受けることがあります。
仕事は、現状かなりいっぱいいっぱいなので、おこがましいですが
一見さんの飛び込みのご相談は受けておらず、
どなたか紹介をいただいたときに受けております。

さらに従業員さん側からの相談は、顧問先のお客様や関係先との
利益相反になる場合があるので、原則お断りしています。

私が従業員の立場の人から相談を受けるのは
知り合いもしくは知り合いの家族についての相談となります。

会社から「辞めてくれ」と言われるのはふたつのパターンがあります。
会社の経営が苦しくて辞めてくれ、と言われるパターンと
従業員本人の素行や勤務態度、勤務成績に問題があるパターンです。

会社の経営が苦しくても、従業員の素行が悪くても、
多くの会社は社員に「辞めてくれ」とは言いません。

会社経営が苦しい場合は、他の経費を削減してでも乗り切ろうとするか
給料を下げてでも雇用は維持しようとします。

従業員の素行が悪い場合であっても、教育をしてみたり配置転換をしてみたり
なんとか雇用を維持しようとするのです。

「辞めてくれ」と言わない会社がほとんどだとすると
「辞めてくれ」という会社はよっぽどの会社だと考えることができます。
(よっぽどの会社=続けるに値しない会社)

本当に経営が苦しい会社であれば、舟は沈みかかっていると考えてよいでしょう。
救命ボートの数が足りているうちに下船した方がよいです。

しなければならないことは次の仕事を探すことなので
できることなら有給を消化しつつ仕事を探す、さらに会社側jからの退職勧奨なのであれば
有給に上乗せをして求職休暇を取得できないかどうかを交渉するなど
「辞めない」を前提に話をするよりも「辞める」を前提にして有利な条件を引き出すようにしましょう。

会社側からすると、苦しいから辞めてもらうのに・・ということになるかもしれませんが
社員が一人辞めてくれることで今後人件費が削減できることを考えれば、
できるだけのことをして舟から下りてもらうことを考えるべきでしょう。


従業員本人に問題がある場合ですが、こちらは会社を続けていてもメリットはありません。
問題がある人は、自分が問題社員であることに気付いていないケースがほとんどなので
なぜ会社から冷遇されるのかわからないときもあるでしょう。

配置転換が多い、やたら始末書を取られる、人事評価の査定がいつも最低である、
自分だけが昇進昇格から取り残されているなどの場合、
会社に評価をされていないと考えた方がベターです。

もし会社で引き続き仕事をしたいのであれば、
会社が進もうとしている方向性を再確認してみてください。
会社が考える「望ましい社員像」を確認してみてください。
上司に聞くのもよいですし、評価が高い同僚の行動パターンを観察してみるのもよいでしょう。

もし評価基準自体が納得いかない、というのであれば、
その会社で引き続き勤務をしていても認められることはありません。
あなたの考える「あるべき社員像」と会社が考える「あるべき社員像」に
相違があるのです。
そんな会社で、自分自身を押し殺して仕事をし、それでも評価されないとなると
精神的に参ってしまうのではないでしょうか。

中には従業員本人に問題はなくて、会社側の人間に問題があるケースも多々あります。
やたらに人を辞めさせるのが好きな経営者も中にはいるのです。

でももしそんな会社であれば、むしろ会社を辞めるのに躊躇することはありません。
悪徳経営者には、自分自身が刃向かって傷つくよりも、天罰が下されるのを待つ方がベターです。

いずれにせよ、「辞めてくれ」と言われた従業員さんの持つオーラは
あまりよいものではありません。
「なぜ自分が・・」という経営者に対する恨み・つらみを纏っているのです。
あのオ-ラをまとったまま再就職先の面接に行ってもパスするのかどうか疑問です。

自分を辞めさせた経営者への一番の復讐は再就職先でビッグになること。
「惜しい社員を手放してしまった」と思わせることではないでしょうか。

生活もあるので、そう簡単に割り切れるものではないと思います。
しかし命は有限であることを思うと、見切りをつけて気持ちを切り替え
次のステップに進むことが精神衛生上も一番よいように思うのです。




2012年07月07日(土)更新

関西電力地域 計画停電実施の際の賃金の支払いについて

関西電力の管轄の地域では、計画停電を実施する場合の地域割りや
時間帯のお知らせがありました。

今後、気温が上昇し、計画停電が実施となった場合に
会社が始業・終業時刻を変更したり、自宅待機を命ずる場合の
取り扱いについて、お問い合わせが増えているので
こちらに書きたいと思います。

■始業・終業時刻の変更について
始業・終業時刻の変更については
就業規則に「会社は業務の都合により第●条に規定した始業・終業時刻を変更することがある」と
記載されていれば、事前に通知をすることで始業・終業時刻の変更は可能です。

ただし、変更をすることで、1日の所定労働時間や1週間の所定労働時間が変更になる場合は
法定労働時間を超える時間についての割増賃金の支払いが発生します。

ですので、できれば変更を行う場合は、1日の所定労働時間や週の所定労働時間を変更しない範囲での
始業・終業時刻の変更がオススメです。

なお、始業・終業時刻を後ろにずらすことで、22時以降の労働となる場合は
深夜割増賃金の支払いが必要になりますのでご注意ください。


■計画停電により自宅待機を命じた場合の賃金の支払いについて
通常、事業主の都合で社員を休ませた場合は、休業1日あたり平均賃金の6割を支払わなければなりません。
(労働基準法 第26条)

ただし、計画停電による休業は、事業主都合の休業とはみなされず、自宅待機させた時間について
賃金の支払いは発生しません。

参考)計画停電実施時の労働基準法第26条の取り扱いについて(厚生労働省)

計画停電が、12時半から15時等、就業時間のど真ん中にあたっており
その時間だけ従業員に待機を命ずることができなくて、この例であれば
午後から帰宅をさせた場合、15時以降の就業時間の賃金についても
事業主の都合による休業とはなりません。
(すなわち賃金の支払い義務は発生しません)

昨年の東日本大震災のあとに、取り扱いをまとめたブログがございますので
こちらもご参考になさってください。

参考)震災・計画停電における自宅待機の取り扱いについて(2011.3.26)


なお、関西電力管轄地域の、計画停電が実施されるかどうかについては
前日18時に確定がするそうです。
関西電力のホームページで登録をすることで、計画停電実施の有無について
メールで情報を得ることができます。

参考)需給逼迫のお知らせメール登録画面(関西電力)

計画停電が実施されることがないようまずは節電に努めたいですね。


2012年05月24日(木)更新

社員がビックリするくらいのボーナスを払いたい!

昨日はお客様の会社に伺い
賃金制度の見直しについて、
社長と人事部長、担当者の方と
面談を行いました。

社長の希望は、ずばり働きに応じた賃金体系に変更を
したいというもの。

今まで温情的に長く勤務をしてくれているので
もうこんな業務も出来るだろう、これくらいの責任を持った仕事ができるだろう
という期待をこめて給料を先払いで払っていたとのこと。

しかし残念ながらある一定のところにいくと
そこから先に能力を伸ばせる社員と、そこで止まってしまう社員がいるとのこと。
全員が機関車になることが難しく、機関車に引っ張ってもらわないと走れない
貨車も存在する。

貨車は貨車で必要なので、それ相応の待遇で仕事をしてもらえばよいのだけれど
問題はみんなの給料を平等に分配しようとすると、できる人に十分な支払いを
することができないことだとおっしゃいました。

機関車になることができる人間はパレートの法則によると
全体の2割ということです。
しかしこの2割が会社を引っ張ってくれることで、会社に利益をもたらし
全体として底上げになります。

そこで社長がおっしゃったのは、「機関車の人間には、賞与明細を見たときにびっくりするくらいの
賞与を支払いたい。そのために、全体の給与の仕組みや評価方法を見直したい」とのご相談でした。

その会社は前期も今期も利益が出て決算賞与を支払うそうです。
上昇気流に乗っているときだからこそ、よりがんばる人にやる気を出してもらい
ますます会社を盛り上げたい、そんな社長の熱い思いが伝わってくる面談でした。

こういった前向きの見直しのときにも、個々を見ると、労働条件の切り下げとなってしまう人も
出てきてしまいます。
しかしそれを怖がっていては「社員がビックリするような賞与」は捻出ができません。

私が社長に申し上げたことは、不利益を被る人には一定期間の経過措置を取ること。
さらに会社として、個々の社員に求めることを明示し、それに対して個々の社員は何をするのか
社員ごとに約束をしてもらうこと。
あるべき社員像になるために研修も行い、教育訓練も行う。
社員の適性を見た上で力を出すことができるポジションを与えるなど
会社もやるべきことがたくさんあります。

「社員がビックリするような賞与を払いたい」と目を輝かせておっしゃる社長。
熱い思いが社員に伝わるように、精一杯お手伝いをさせていただきたいと思います!

**PRタイム**
先日、増刷になりました拙著『小さな会社の正しい給料の下げ方・人件費の減らし方』
タイトルは後ろ向きですが、内容は給料体系の見直しについて書いております。
給料体系見直しの際に、全体の原資はUP、さらに全体の9割の給料が上がるとしても
1割の人は給料が下がってしまうかもしれません。
(見直しをすると結果的にそうなります)

給料が上がる人はよしとして、下がる人に対してはそれなりの対応が必要になります。
今後定年延長も踏まえ、「給料体系の見直し」はどこの会社でも起こりうることです。
ぜひご一読いただき参考にしていただければと思います。

*****

2012年03月02日(金)更新

モンスターペアレンツとの戦い方

「従業員の親御さんから電話がかかってきて文句を言われるのですが
どう対応すればいいですか?」と相談されることが増えました。

事業縮小のため、泣く泣く退職勧奨を行い、従業員さんは納得してくれたのに
帰宅後、会社に奥さんから電話がかかってきたという話しも聞いたことがあります。

会社と雇用契約を結んでいるのは従業員本人です。
仕事をしてもらっているということは、大人であるはずなので
会社が話しをすべきなのは、従業員本人です。

「子どもの喧嘩に親が出る」ではないですが
本来、自分とは関係がない会社に対して電話をかけてくる親も親ですが、
怒鳴り込まれる方の会社も実は何らかの問題がある場合が多いのも事実です。

「金持ちけんかせず」という言葉があります。
この言葉は喧嘩を売られてもやりすごすという意味だけではなく
そもそも喧嘩にならないようにしておく、ということだと私は考えています。

多くの場合、「労働時間が長すぎる」という内容の電話がかかってくるようです。
親としては過労死を心配して電話をかけてきているのでしょう。

「うちの会社は営業時間が長いから仕方がない。文句があるなら辞めてもらう」では
根本的な問題解決にはなりません。

近頃は権利意識が強い人が増えているので、すべてがすべて会社に非があるわけではないでしょう。
しかし、感情的にならず一歩引いて、今後文句を誰にも言わせない体制をつくっていくことが
モンスターペアレンツと戦わなくても済む一番の方法だと考えています。

「戦い」は始めた時点で負けです。
いくら勝負で勝っても負けた人からの恨みを買うことになります。

本来会社と従業員は利害関係が一致しているはずです。
従業員は戦いの相手ではありません。

戦いが怒らない仕組みをぜひつくってくださいね!

■モンスターペアレンツからクレームの電話があった場合の具体的対応方法

1.先方の話を真摯に聞く(問題点の把握)
2.問題点について、直接従業員と話し合う旨を伝える
3.個別の問題対応だけではなく、会社全体としての仕組みの改善を考える
4.会社の対応について従業員から両親に伝えさせる




2011年12月21日(水)更新

【いよりなみの忘年会日記】職員さんとの昼忘年会

昨日は忘年会ダブルヘッダーでして
晩は先にUPしたブログに書いた京都での和食のコース。
昼はうちのスタッフとのフレンチのコースランチ忘年会でした。

忘年会をランチにしたのはスタッフの一人が主婦であること、
(あ・・・私も主婦だけど・笑)
あとは私自身の晩のスケジュールが空けられなかったからです。

ランチのお店はこちら。ラ・シームさん。
気になっていたけれども、普段行くには
少し勇気が要る価格帯のお店です。

今回は晩の忘年会の代わりだし、思い切って行ってみました。

まずはアミューズ・グージェール グリンピースのピューレと
クラックビトゥとスモークベーコン










スプーンに入った粉チーズのようなものは
粉末化したオリーブオイルでチーズのムースにまぜていただきます。
スモークベーコンは周りに小麦粉をつけて焼いているとのことで
パリパリの皮をまとってベーコンは今まで食べたことがないような香ばしさでした。


2品目の前菜はハムとパセリのゼリー寄せ。
見た目がめちゃめちゃ綺麗。
ゼリーはホンマにパセリの濃縮したお味でした。











3品目はスープ
レンズ豆のヴルーテ シャンピニニオンのグラス
お皿にあるのは甘くないアイスクリームで
そこに温かいレンズ豆のスープを注いでいただきます。
とっても不思議な食感でした。











そしてお魚料理
ウナギのグリル。
蒲焼きではないウナギを食べたのは初めてくらいの経験でしたが
皮がパリパリで身はもっちりしていて美味でした。











メインのお肉料理は
ブッフプルギニオン。
パスタの中に牛挽肉の赤ワイン煮込みが詰まっている
お料理でした。











デザートはカシスとフロマージュのムース。
カシスのソースがとっても美味しかったです。











予約をしておき12時に入店。
食べ終わったらもう14時前になっていました。
私たちもシャンパンをいただいたのですが
他のお客様も皆何か飲まれていたので
時間を気にせずにランチタイムを過ごせる方にお勧めのお店です。












スタッフの方がお店の外まで送ってくださいました。
今度は晩に行ってワインも楽しみたいです。
新保さん、よろしく!(笑)

2011年12月08日(木)更新

厚生年金適用範囲の拡大について【私見】

厚生年金に加入するパート社員の範囲を拡大すべく
社会保障審議会で検討中とのこと。

パート労働者をたくさん雇い入れている
外食産業を含むサービス業の顧問先を多く抱える私は
制度改正に反対です。

現在は正社員の4分の3未満の勤務時間・勤務日数であれば
厚生年金には加入させなくてもよいことになっているので
企業は週30時間までの勤務でパート労働者を雇っています。

社会保険に加入をさせないのは、悪意でもなんでもなく
保険料負担が企業にとってとてつもなく大きなものだからです。

パート労働者も年収130万円未満で勤務をすれば
ご主人の健康保険の扶養家族になることができるので
年金保険料も健康保険料の負担もありません。
当然給料の手取りが増えます。

パート社員が厚生年金に加入すると、確かに老後の年金の受給額は増えます。
しかしご主人が先に亡くなり、遺族厚生年金を受給するようになると
遺族厚生年金+自分の老齢厚生年金を受給できるのではなく
(遺族厚生年金-自分の老齢厚生年金)+自分の老齢厚生年金を受給することになるので
金額ベースとしては遺族厚生年金だけ受給しているのと同じになります。

*旦那が先に死んだら主婦が働いた老齢厚生年金は無駄になるってこと!

さらに厚生年金は保険料を払うことで、老齢厚生年金を受給できたり
万が一障害になった場合は障害厚生年金を受給できるというメリットはあります。
(主婦が亡くなっても遺族が遺族厚生年金を受給できるケースは稀です)

では加入するときにセットになっている健康保険はどうでしょう。

健康保険について自分が被保険者になって得することは、

・病気で会社を長期間に渡って休んだときに所得補償を受けることができる(傷病手当金)
・出産のときに休んだ場合に所得補償を受けることができる(出産手当金)

の2点だけです。

病院を受診するときは、自分で保険料負担をしていても、扶養家族であっても同じ負担割合なので
ぶっちゃけ保険料負担がない方が得です。

*出産・傷病欠勤がなければ、健康保険は扶養家族でいる方が得!

パートの範囲を拡大するなら、そもそも社会保険に加入すべき事業所で加入していないところや
週30時間以上勤務しているのに加入していない従業員など
現行の法律の中で、未適用事業所・未加入者の適用加入促進を徹底すべきだと考えます。

どうしても保険料収入を増やしたいのであれば、現在国民年金第3号被保険者になっている
厚生年金加入者の被扶養配偶者がいる被保険者(妻を扶養している夫)から
奥さんの分の保険料を徴収すればいかがでしょうか。

国民年金第3号被保険者の保険料については、その配偶者が負担しているのではなく
厚生年金に加入しているすべての人が負担しているって、こっちの方がおかしくないですか??

自営業(国民年金第1号保険者)のご主人を持つ専業主婦は自分で国民年金保険料を支払っていますが
老齢基礎年金を受給するときは、保険料を払っていないサラリーマンの奥さんと同じ金額って
そこは不公平だと思います。

厚生年金の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げになるに伴い
企業には定年延長の負担を背負わせ、
さらに70歳以上であっても一定額以上の報酬を受けている被保険者(主には中小企業の社長・会長)については
老齢厚生年金の支給調整がされていて、彼らは長年最高額の厚生年金保険料を負担しているにも
関わらず、年金の受給ができない状態になっています。

そんな中小企業の社長に、パートさんの社会保険の負担まで背負わせるとは!!

もし私が中小企業の経営者で週20時間勤務が厚生年金への加入ラインになると
法律が変更されたらこうします!

1.事業全体の見直し~人員を削減してスリム化。正社員のみでこなせる仕事にシフト
2.週30時間のパートは40時間勤務に引き上げ。社会保険料を負担しても育てたいくらい
能力と意欲がある人に限って雇用を継続する
3.パートの時間給については最低賃金と決める
4.外部の労働力の徹底利用。アウトソーシングや個人への業務委託


企業は人件費を全体で考えるので、この影響はパート社員にとどまらず
正社員の給料や賞与にも影響があるでしょう。
また、事業全体の見直しにより、パート社員の雇用だけではなく
正社員の雇用の継続も難しいというケースも考えられます。

パートが減ることで、正社員の負担が増え、過重労働への道に進むことにもなりかねません。

最後に年金保険料を払う人が増えるということは、将来年金を払わなければならない人が増えるということも
忘れてはなりません。
年金保険料って自分が将来もらうお金を積み立てているのではなく
今、年金をもらっている人のために自分は支払っているという仕組みになっています。

年金の支え手が将来減るからということで、適用範囲を拡大しようとしているのですが
それは受給者を将来増やすことになり、そのときにまた支え手が足りなくなるのは
目に見えています。

政府は各方面から専門家を集めて討論していると思いますが
生きていくのに必死の中小企業の現状にも目を向けてほしいです。




2011年06月27日(月)更新

それでもなお、人を雇い続ける

昨年末に約2年間勤務してくれていた事務員さんが退職し
今年に入って事務員さんが既に3回転しました。
まだ6月なので平均耐用年数2か月です・・・
(実際はもっと短いです・・)

退職された理由は人それぞれなのですが
さすがの私も谷底に突き落とされたくらいに落ち込みました。
うちの場合、職員さん1名と、前職の会計事務所で一緒に仕事をしていた
最強のパートナーが臨時職員として1名で仕事をしています。

臨時職員の彼女は週1~2回の出勤なので、
事務員さんは、ほぼ私と1対1の勤務になるわけで
よっぽど私って一緒に居辛い人間なのかなぁとか・・・

普段、ほっといてもひとりでしゃべっている、というイメージかもしれませんが
事務所ではめちゃ寡黙です。
ある事務員さんには「機嫌が悪い」と表現されてしまったのですが
「機嫌が悪い」のではなく、限られた時間に、
仕事をやり遂げてしまわなければならないので、とりあえず必死なのです。

事務員さんにやってもらうこと、はあらかじめ決めているので
その作業さえやってもらえれば、自分だけ忙しくて、
事務員さんが手すきでも、私自身は全然気にならないのですが
(事務員さんにそれだけのスキルがまだ身についていなければ仕方がないので)
ポツンと取り残された事務員さんはそうは思っていなかったようです。

事務員さんが退職されるたびに心傷つくけれども
傷ついているだけでは得るものはないので
この痛みを次につなげるべく毎回プチ改善を試みております。

現在、採用面接の真っ只中なのですが、次の事務員さんが決まったら
思い切ってもうひとり採用をする予定です。
予算の関係でもうひとりはパートさんになりそうですが
職員さん同士で仕組みをつくって仕事をしてもらえるようにしようかと。

さらに、会計事務所のときに散々言われていた
「業務の標準化」がうちは全くできていなくて
「まかせられない」=「自分の頭の中でしかわかっていない」ということなので
この際、仕組みつくりを徹底して、さらに大きな事務所になっても耐えられるような
土台をつくっていきたいと思います。

元々自分ひとりで始めた仕事なので、またひとりに戻るのもいいかなぁと
考えたこともありましたが、仕事のクオリティも下がってしまうので
組織で対応して、私の手をできるだけ空けるようにしておこうと思います。

事務員さんの相次ぐ退職にくじけていた私を励ましてくれた本がこちら。

『柳井正の希望を持とう』
(朝日新書)












柳井さんもお父様の会社を継いだときに、社員が次々に退職していき
7人いた社員で残った人が一人だったらしいです。

(以下本文より)
一人でやるにあたって、私がまずやったことは、習慣のようになっていた日々の仕事を
自分なりに分析して「文章化」したことだ。(中略)そうやって整理して、自分の頭で理解し
少ない人数でもできるよう新しいルールをつくっていった。若い女性社員を一人採用したこともあり
彼女に説明するために仕事を「見える形」にしたのだ。


この本を読んでいて、くじけずにまたやってみようという気持ちになりました。
今、ちょうど自分一人の職人稼業から、組織への移行期だと思うのです。

起業して、軌道に載せるまでも大変でしたが、組織にしていくのも苦戦しております。
でもこれを乗り越えたら『稼げる社労士の集客術』の続編
『稼げる社労士の正しい組織のつくり方・職員の育て方』が書けると思うので
その日を夢見てがんばりたいと思います!



2011年06月22日(水)更新

懐の深い人は、辛い経験をくぐり抜けている

私は人に恵まれています。
特に顧問先のお客様から学ぶことがすごく多いです。

うちは今年に入ってからスタッフが安定せず
それに加えて執筆・講演などが続き
顧問先のお客様の仕事が
後回しになってしまったこともありました。

昨年秋から取り組んでいる
就業規則の改訂も終わっていないお客様もあります。

しかし責められることなく、逆に「事務員さんは落ち着きましたか?」
「またいい本を書かれて、本当にがんばりはりましたね」
「精力的に講演などをこないしていて、そのパワーに脱帽やわ」と
ご心配や励ましをいただく始末。

今日は、就業規則改訂をお待たせしている
お客様のところに訪問してきました。

労働保険料の支払額の確認や、算定基礎届の用紙をいただくなど
まずは事務の仕事をしてから、就業規則の最終確認に。

面談の相手は経営者のご親族の女性の方です。
事務をすべて取り仕切っておられます。
いつもどんな書類をお願いしても、迅速に対応してくださり
書類にもれはなく、必ず手書きの一筆が添えられています。

就業規則改訂の対応が遅くなったときに、お詫びのメールを入れると
逆に「本の執筆がんばってください。私も本ができるのを楽しみにしています」と
励ましてくださいました。

その言葉が表面的なものではなく、本当に心から応援してくださっている
(自社の仕事が遅くなっているのに)が伝わってきて、
私もそれに応えなければと現在一所懸命やっている次第です。

今日は就業規則の最終確認をしながら
女性同士なので、家族の話になりました。
私より10歳くらい年上の方なのですが
色々お話を聞いていると、ただ自分が好き勝手に人生を歩んできたわけではなく
家族との時間など、自分を押し殺して生活をしていた期間も長かったとのこと。

今は子どもさんも手が離れて、自分が好きに仕事ができるのが
楽しくて楽しくて仕方がないそうです。

普段のお心遣いに感謝の気持ちを伝えると
「私は自分が人にやってもらってうれしいと思ったことを
他の人にもするようにしているんです。それだけです。
自分がそうすることが楽しいので、見返りは求めないことにしてます」
とおっしゃいました。

私は家では好き勝手をやらせてもらっているので、自分を抑えるということはありませんが
職場では人を使う立場になって初めて、「自分を抑える」を学び中です。(現在進行形)

勤務しているときは、こんな性格なので、他人にどう思われようと気にせず、わが道を行ってました。
でも今は言うべきこと、言わないほうがいいことを、考えてから口にするようにしています。
言わないことで本意が伝わらないこともありますが、言ったところで結果が好転しないのであれば
あるべき結果になることだけを考えて、必要なことのみ伝えるようにしています。
(まだ未完成・現在進行形:ついつい余計なことまで言ってしまいます・汗)

今日、顧問先のお客様とお話をしていて、今は自分の気持ちをなかなかコントロールできなくて
苦しいけれども、常に意識をすることで自然にコントロールできるようになれば、
脱皮して、他人をもっと受け入れることができる懐の広い人間になれるのでは・・・と思いました。

その方とも話していたのですが、書類に手書きの一筆を添えること、も別に必須ではないので
楽をしようと思えばいくらでも手抜きはできる、でも人間、楽に流れると、他人に対して
不義理になってしまうことがある。
人と接するのならお互いに気持ちいい関係である方がいいですよね、という結論で
書類関係20分、就業規則20分、よもやま話は2時間半の対談を終えました。
顧問料をいただいてさらに学べるなんて、ホンマにええ仕事ですわ。

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    【明大生との一問百答】上司からアドバイスを引き出す方法 - 井寄事務所 代表 井寄奈美
  • 井寄奈美「著者デビュー5周年」に出席 from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    特定社会保険労務士で経営者会報ブログの会員でe製造業の会の会員でもある井寄奈美氏が2009年に「小さな会社の<トクする>人の雇い方・給料の払い方」を出版してから4年間で6冊の本を執筆しています。 そこで著者デビュー5周年の感謝祭を開くということで招待されましたが、たまたま我社の年2回しかない土曜日出勤日に当たり第1部のトークイベントには出席ができず夕方からのパーティにだけ参加させていただきま
  • 僕らの味方 キューティーバニー from 男の魂と誇りを込めて・・・世界が震撼する日本の鞄 國鞄 社長 庄山 悟 の日記
  • 新刊書『社長!「非常識社員」はこう扱いなさい』を頂きました! from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    いつもお世話になっている特定社会保険労務士の井寄奈美さんが、6冊目の本『社長!「非常識社員」はこう扱いなさい』を㈱中経出版より出版しました。 その新刊書を10月30日発売なのに早々と送ってくださいました。 井寄さんの出している本は全て労働基準法や社員になどに対する対処など中小経営者の悩んでいることなどを解りやすく解説している本で経営者にお薦めの本です。 今回は権利のみを主張して労務の
  • 大阪府中小企業労働環境好事例集作成で井寄奈美氏の取材を受けます。 from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    大阪商工労働部から推薦され大阪府総合労働事務所のヒアリングを受け中小企業労働環境向上好事例選定委員会において、三元ラセン管工業㈱においては、文句のつけようがないという意見も出るなど高評価を頂き好事例企業50社の中の1社に選定されました。 その選定された会社に今度は社会保険労務士や中小企業診断士が訪問し取材を行い事例集を作成するそうです。 訪問される社会保険労務士や中小企業診断士さんはこちら