大きくする 標準 小さくする

«前の記事へ 次の記事へ»


会社を辞めて資格で独立開業を考えておられる方に

投稿日時:2011/05/20(金) 21:54rss

社労士に新規登録される方には年配の方もたくさんおられます。
在職中に資格を取り、定年退職後に年金をもらいながら
在職中の経験を活かし、小遣い稼ぎに仕事をしてみるか、といった人たちです。

実はそういった方から開業相談をよく受けるのですが
共通して感じることがあります。

それらは、年代関係なく会社を辞めて独立開業しようと考える人にとっても
必要な情報かと思いますのでブログで共有させていただきます。

私自身も11年間、会社勤務をして、司法書士事務所、会計事務所、そして
労働基準監督署で勤務をしてから開業しました。
元々自営業をするなんてこれっぽっちも思っていなかったので
「給料をもらう人」から「自分で稼ぐ人」への意識の切り替えに時間がかかりました。

「給料をもらう人」のときは、給料が安いとかボーナスが出ないとか色々あるかもしれませんが
基本的に持ち出しはありませんよね。
移動の交通費は全額会社負担。備品や事務机もあって当然。
自分が使った電話代やインターネットの接続費用を請求されることもありません。
入ってくる給料はすべてプラスです。自分の自由に使うことができます。

ところが「自分で稼ぐ人」になった瞬間に、入ってくるお金は
支払いのためのお金になります。
それどころか、お金が入ってくる前に、支払いが先行するのが
「事業を始める」ということなのです。

開業相談に来られる人の話を聞いていると
まずお金を使うことにすごく抵抗がある人が多いように思います。
名刺にはコストをかけず、ホームページなんてとんでもない、なんてなると
どうやって自分の情報を他人に伝えるのかなぁって思ってしまいます。
お金が入ってから支払い、と考えていたとすれば大きな間違いです。
お金が入ってくる仕組みをつくるために先に支払いがやってくるものなのです。

さらに、皆に共通していることは、面談のときに、会社員時代の実績を
事細かに説明し、「自分にしかそれはできない」と思い込んでる人が多いことです。
勤めていた会社ではそれができる人はご自分しかいなかったかもしれませんが
世間には同じことができる人がたくさんいます。

必死で勉強して取った社労士資格さえも
同じ資格を持っている人が世の中にはわんさといるのです。

もちろん勤務時代に積んだ経験は仕事の中で活かすことができます。
しかし、あくまでも御客様のニーズがあることが先です。

例えば紹介で御客様のところに行ったときに
自分ができることだけを延々としゃべり続ける社労士ってどうでしょう。
我々の仕事は御客様の困りごとを解決する仕事です。
まずは御客様の話を聞き、その解決手段のひとつの提案として
自分の経験を例を出すくらいに留めておいたほうがいいです。
なぜならば、あなたの会社でのやり方は、あくまでもその会社でのルールや
慣習に沿ったものでしかないからです。

さらに御客様を紹介してもらえる人脈の作り方ですが
会社の看板をはずしても、あなた個人を応援してくれる人脈を
在職中につくっておくべきです。

開業しようと思ったらまずは開業案内を出すリストを整備し
主だった人にはあいさつに出向くという行動を起こすことです。

このときに注意すべきことは、あなたの行動は相手の時間を
奪っているという意識を持つことです。
アポイントを取ること、時間を守ることは常識ですが
時間を割いてくれたことに対して感謝の気持ちを示すべきです。
可能であれば相手にとって有益な情報を個別に準備すべきでしょう。
その情報は自分の仕事の売り込みではなく、あくまでも相手視点で考えることです。

資格を取って開業すれば仕事が降ってくるわけではなく
自分で頭を下げて、まずはあなたのことをよく知っている人に
まずは自分の仕事を説明し、応援してもらえるようにお願いするべきです。

私の初めての御客様は幼馴染のお兄さん(税理士さん)が紹介してくださいました。
社労士としての経験はなかったけれども、私の人となりをよく知っておられたので
開業祝いにご紹介してくださったのです。

既に自分と付き合いがある人からの紹介を受けられないのに
開業してから異業種交流会とかで知り合った人から紹介を受けられるはずがありません。


さらに意識すべきは


・会社員時代の感覚を脱ぎ捨て、収益を得るために投資をするマインドを持つこと
・自分ができることを整理した上で、まずは人の話を聞くことに徹すること
・資格を持っている、経験があることだけで仕事が沸いてくることはないこと
・まずは自分の知っている人に自分の仕事を知ってもらうこと
・人に話しを聞いてもらうためには、まずその人の役にたつことを自分が先にすること
・社労士とはどういう仕事なのかを体感するために、まずは社労士会に積極的に参加をして他の社労士の話を聞くこと


などがあげられるでしょう。

ホームページの作成やメルマガ・ニュースレターの配信など、情報発信のためにやるべきことは
その他たくさんありますが、(これら詳細は拙著『稼げる社労士の集客術』に書いています)
まずは自分の周りにいる人に応援してもらえる自分になることを
考えて行動に移すことが先決です。

お金を使うのが嫌な人。人に頭を下げたり、行動するのが面倒、おっくうな人は、
投資をしたところで回収できない可能性があります。
はっきり言って自営業には向いていません。
独立開業はあきらめて、他に年金等収入があるのであれば、行政協力だけに参加をする、
社労士会の仕事を手伝うなどの選択をすれば投資もありませんし、
適当に時間もつぶれるのでよいかと思われます。

自営業の世界はとても厳しいです。
自分の看板を自分でつくりあげていかなければなりません。
片手間でできるものではないので、やるならやるで本気でやっていただくようお願いします。




トラックバック一覧

コメント

名前:
Eメールアドレス:
コメント:
ファイル

画像の英字5文字を入力して下さい。:
パスワード:

会社概要

人事労務に関するコンサルタント業/セミナー運営/社会保険労務士業

詳細へ

個人プロフィール

詳細へ

最近の記事

このブログの記事タイトル一覧(903)


<<  2024年4月  >>
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        

コメント一覧

最新トラックバック

  • ルイヴィトン 店舗 from ルイヴィトン 店舗
    【明大生との一問百答】上司からアドバイスを引き出す方法 - 井寄事務所 代表 井寄奈美
  • 井寄奈美「著者デビュー5周年」に出席 from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    特定社会保険労務士で経営者会報ブログの会員でe製造業の会の会員でもある井寄奈美氏が2009年に「小さな会社の<トクする>人の雇い方・給料の払い方」を出版してから4年間で6冊の本を執筆しています。 そこで著者デビュー5周年の感謝祭を開くということで招待されましたが、たまたま我社の年2回しかない土曜日出勤日に当たり第1部のトークイベントには出席ができず夕方からのパーティにだけ参加させていただきま
  • 僕らの味方 キューティーバニー from 男の魂と誇りを込めて・・・世界が震撼する日本の鞄 國鞄 社長 庄山 悟 の日記
  • 新刊書『社長!「非常識社員」はこう扱いなさい』を頂きました! from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    いつもお世話になっている特定社会保険労務士の井寄奈美さんが、6冊目の本『社長!「非常識社員」はこう扱いなさい』を㈱中経出版より出版しました。 その新刊書を10月30日発売なのに早々と送ってくださいました。 井寄さんの出している本は全て労働基準法や社員になどに対する対処など中小経営者の悩んでいることなどを解りやすく解説している本で経営者にお薦めの本です。 今回は権利のみを主張して労務の
  • 大阪府中小企業労働環境好事例集作成で井寄奈美氏の取材を受けます。 from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
    大阪商工労働部から推薦され大阪府総合労働事務所のヒアリングを受け中小企業労働環境向上好事例選定委員会において、三元ラセン管工業㈱においては、文句のつけようがないという意見も出るなど高評価を頂き好事例企業50社の中の1社に選定されました。 その選定された会社に今度は社会保険労務士や中小企業診断士が訪問し取材を行い事例集を作成するそうです。 訪問される社会保険労務士や中小企業診断士さんはこちら